廃止に向けた動きも
申し送りは情報を共有するために非常に重要な作業です。しかし、それが現場で働く看護師の負担になっているのも事実で、近年は廃止に向けた取り組みも行われています。
廃止の流れが強まっている理由
申し送りが現場で働く看護師の負担になっているのには、いくつかの理由があります。申し送りには時間がかかり、その間はナースコールの対応が難しくなります。また、内容が重複して時間が無駄に割かれてしまうことも少なくありません。ベッドサイドの申し送りとは別に、ナースステーションでも申し送りが必要なのでさらに時間がかかります。これらの理由から、廃止を視野に入れた業務改善に乗り出す病院も増えてきました。ある大学の医学部では申し送りの不要性を検証する研究も行われています。
記録の充実化がカギ
記録を充実化することで申し送りを短縮できます。実際に廃止の方向で動いている病院も多く、申し送りの短縮や廃止は業務を円滑に進める上で必要です。また、記録だけでなくミニカンファレンスを実施することで情報共有が容易になります。結果として看護師にかかる負担が抑えられ、離職者を出さないといった効果も見込めます。申し送りの負担が大きく、周囲も同じように感じているなら、まずはミニカンファレンスの実施を提案してみてはいかがでしょうか。そこから徐々に記録の充実化を目指して動いていくといった流れが理想的です。
廃止する場合の注意点
申し送りの廃止を決定し、実施に向けて動いている病院で働く際に注意すべきなのが情報の共有方法です。完全に申し送りが廃止された後は記録に頼ることになります。しかし、医師の指示や検査の結果が異なった内容で記載されていた場合、情報のミスマッチが生じてしまいます。そのため、あらかじめフローシートなどを作成して情報を正確に把握できるようなシステムを構築しなければなりません。
また、申し送りが廃止されたとしても、後任の看護師に直接伝えたい情報がまったくないということはないでしょう。そこで活用すべきなのが申し送りノートです。申し送りノートを通常の記録とは別に用意しておくことで、何かあった際にも必要な情報をすぐに入手できます。
まとめ
申し送りを廃止することで多くのメリットを得られます。看護師の負担が少なくなることで患者の対応にも余裕が生まれ、結果として質の高い看護を提供できます。現状はまだまだ申し送りを行っている現場が多いようですが、今後は廃止の流れが強まっていくことが予想されます。スタッフ全員が意識を高めて取り組むことで、より円滑に業務を進められます。